2014年3月19日水曜日

本質




金子みすゞの詩には
温かさと
それに相反する
切なさ、無常さが
共存していると思う。

弱きものへ寄り添う
やさしく
愛おしみを持った
眼差し。

 






 
でも
みすゞの
研ぎ澄まされた感性から
発せられる
「言葉」になると
あまりにも真(芯)の部分を
鋭くとらえるので
物事の裏に潜む
残酷さや非情さまでもが
浮き彫りにされてしまう。

 


書かれている言葉自体は
流石童謡詩人。
ものすごーく
シンプルで子供でも使うような
やさしい言葉なんだけどね。
彼女の視線が鋭いんだなぁ。 
その視点に
八ッとさせられる。
(眼差しはやさしい、のに
事実を見据える視線は鋭い・・・
スゴイひとだ)



歌い手として
詩の内容を理解していなければ
表現することは出来ない。
それに
歌う意味もない。

雰囲気だけで何か伝えようとしても
結局は聴き手には
「なんとなく」の空気感しか伝わらないし。

 

感じがいい、とか
心地よい という感想も
勿論プラスの評価なので
有難いことだけれど
でも、あまた楽器はあれど
唯一 歌手だけが
言葉を使い
詩を語り歌うことで
音楽表現できるのだから
「言葉」の持つ響きや意味に
心を砕かずして
ナニを伝えようというのかしら?!




 

日本語は
母国語であるにも関わらず
歌う、となると
明瞭に発音するのが
難しい原語。

発音、言葉の解釈、発声、響きe.t.c.
ハードル高し。


金子みすゞの
世界観をちゃんと伝えられたか。

人間の存在意義や
生きとし生けるモノすべての価値や
ヒトのあるべき姿の根底に向けられた
純粋な目線・・・

みすゞの眼差しや視線の
先を追って
これからも歌い続けよう。

金子みすゞ・・・大正時代末期~昭和初期に活躍した日本の童謡詩人  
26歳の若さでこの世を去るまでに512編もの詩を綴ったとされる。

(Photo:Oguri)

2014年3月11日火曜日

問いかける

いつも通り
午前中のクラスで
生徒にストレッチや呼吸法を
指導する。

普通の日常。



吸おうとしないで
吐くことに集中して!

教室に私の声が響く。


そう。

きちんと息を吐き切れば
次の瞬間
自然に身体が開いて
空気がスムースに入ってくる。

呼吸がうまく出来ない生徒には
 「息を吐けば
次は新しい空気が
入るしかないのッ!
赤ちゃんは

誰にナニを教えられるでもなく
産まれてすぐに
上手に呼吸を始めるでしょ~?
じゃなきゃ
死んじゃうよー!
ごくごく
自然なことなんだから
吸おうとしないで!!
吐いて吐いて~」


そう
ごくごく自然なこと
なんだけど
吐き出すこと
これが
結構難しいらしいのよ。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

お昼近く
一人の生徒が
「あと3時間ですね」

あの日から3年。


今こうして生きて
呼吸をしている。
なんて幸せなことだろう。


こうやって
元気に・・・

時にはムシャクシャすることも
ウマくいかないこともあるし
自己嫌悪に陥ることもあるけれど
それでも 今日
人の体温を感じて
様々な思いや感情と向き合って
笑ったり泣いたり・・・

しっかり息をして
呼吸をして
生きている。



「こうやっていることが
ありがたいですねー」 

生徒がしみじみ一言。


うんうん。



ごくごく普通の日常に
感謝しながら
与えられた命を
愛おしみながら
精一杯
生きよう。

あー
ガラにもなく
自分に語りかけてしまったぁ・・・

やっぱり今日は
特別な日。